アメリカの地で蒸留酒作りが行われるようになったのは17世紀頃からで、

ヨーロッパからの移民がこの地に蒸留技術をもたらしました。

初期のウイスキーは、ライ麦を原料に作られていたもので、

トウモロコシを使うようになったのは、18世紀の末。

「1783年にケンタッキーでエヴァン・ウイリアムズが麦にトウモロコシを加えて蒸留酒を作った」

と言うのが最初とも言われていますが、

一般的には「1789年にケンタッキーで牧師のエライジャ・クレイグが

トウモロコシを主原料にして作ったのが本格的なトウモロコシ製ウイスキーの始まり」だとされています。


現在、アメリカのウイスキーは連邦アルコール法の規制のもとに作られています。

それによると、ウイスキーとは穀物を原料とし、アルコール分95度未満で蒸留した後、

オーク樽で熟成 (コーン・ウイスキーだけは熟成させなくてもよい) させ、

40度以上で瓶詰めしたもの、と規定されています。

また、他のスピリッツをブレンドしたものも、これに含まれています。

ただし、その中でも、バーボン、ライ、コーン、テネシー、その他のウイスキーと

さらに区分する条件も規定されているのです。




主なアメリカン・ウイスキーの種類別特徴

バーボン・ウイスキー


アルコール分80度未満で蒸留し、内側を焦がした新しいオーク樽で熟成させる。

主原料の穀物の中でコーンを51%以上含ませたもの。



ライ・ウイスキー

アルコール分80度未満で蒸留し、内側を焦がした新しいオーク樽で熟成させる。

主原料の穀物の中でライ麦を51%以上含ませたもの。



コーン・ウイスキー

アルコール分80度未満で蒸留し、樽熟成させないもの。

熟成させる場合は、内側を焦がさないオークの新樽か、または内側を焦がしたオークの古樽で熟成させる。

主原料の穀物の中でコーンを80%以上含ませたもの。



*以上のウイスキーが樽熟成を2年以上のものの名称の上には「ストレート」という形容詞がつきます。



テネシー・ウイスキー

原料・蒸留の点ではバーボンと同一だが、テネシー州産のさとうかえでのスミで濾過した上で、樽熟成させる。



ブレンデッド・ウイスキー

ストレート・ウイスキーを20%以上ブレンドし残り80%未満はその他のウイスキーを含ませたもの。







バーボン・ウイスキー


起源:18世紀頃

発展:19世紀

原料:コーン・モルト・ライ麦・小麦

特徴:オークの新樽熟成、熟成2年以上は「ストレート・バーボン」




バーボン・ウイスキーができるまで

禁酒法以後、1964年にバーボンについての法律が定められ(連邦アルコール法・バーボン法)

製法や保管などについて細かく規制が設けられました。

現在は、原料の配分、イーストのタイプなどについては、

各社独自の判断で行っているが製法については下記の順序で製品化までの道をたどっている。

ただし、テネシー・ウイスキーについてはHエイジング の前にチャコール・メローイング

(サトウカエデの炭木の間を濾過させる)が加わります。







製造工程

@穀物(原料)

原料となる穀物の51%以上がトウモロコシと決められています。

他には、ライ麦や小麦、大麦モルトがあります。

トウモロコシの比率が高いほど甘みを増しますが、通常は60%くらいです。

(モルト=麦芽)

A粉砕
原料の穀物(トウモロコシ、ライ麦や小麦等)を加水加熱しやすくなるように細かく砕きます。
粉砕機の種類はハンマー式、ローラー式があります。

Bマッシング(モロミ造り)
粉砕した@の原料と別に粉砕した大麦モルト混ぜ、加水加熱し、
発酵に適した糖分に変えます。この液体をモロミ(糖化液)といいます。

C発酵
モロミに酵母を加えて発酵させます。
この発酵液は、ビア−あるいはビールと呼ばれます。
また、発酵方法には、サワーマッシュ方法、スイートマッシュ方法の2種類があります。
(発酵完了まで3〜5日かかる)

D蒸留
発酵を終えた発酵液を単式、連続式蒸留機で蒸留します。
蒸留して得られた原酒のアルコール度数は
160プルーフ(80度)以下でなければならないと決められています。

E凝縮
蒸留機から出たアルコールの蒸気を冷却して液体にもどします。
ここで得られた液体がバーボンの原酒になるのです。

F調整
連邦アルコール法では、「125プルーフ以下で熟成させる」と規定されているので、
純水で希釈してプルーフを調整します。

G樽詰め
プルーフ調整後、内側を焦がしたホワイトオークの新樽に原酒を詰めます。
(樽についても規定がある)

H熟成(エイジング)
熟成倉庫(ウエハウス)にて、最低2年以上寝かせます。
最近では、木製トタンのもの意外に、石造りによるウエハウスも再建されました。
(ラブロート&グラハム蒸留所)

Iろ過
熟成したバーボンをろ過し、雑分を取り除きます。

Jボトリング
瓶詰めの後、いよいよ出荷です。








バーボン・ウイスキー 雑学知識


@バーボンウイスキーの発祥について

アメリカ開拓当初は、本国(イギリス)からのラム、ブランデーの飲料が主流でしたが、
コストの負担から本国同様に、現地での穀物によるウイスキー作りが始まりました。
しかし、ほどなくし税金対象となり、管理下ではない
ケンタッキー(当時はバージニア州の一部)へと移動したのです。
そしてそこで豊富な穀物、天然の石灰水(ライムストーン・ウォーター)という
ウイスキー作りに重要な資源の確保により
すばらしいウイスキーを作るようになったのです。


Aライムストーン・ウォーター(石灰水)とは

ウイスキー作りにとって重要な要素のひとつに、
どれだけピュアな水を確保するかという事があります。
そしてケンタッキーの地は、まさしくそのウイスキーつくりのために
重要なすばらしい水の産地でもあったのです。
アラスカからカナダ、そしてロッキー山脈を伝わって地下を流れる水は、
ケンタッキーの地盤である「石灰岩」を湧き出てくるのです。
これはまさに天然の財産と言えるでしょう。

なぜ、ウイスキー作りに適しているかというと、石灰岩を伝わって湧き出る際に、
水に含まれる鉄分による穀物の雑味や
その他の鉱物をきれいに濾過してくれるからです。
また、水に含まれている石灰分が発酵過程において生じる過剰な酸を抑え、
ウイスキーのうまみを引き出させてくれるのです。

余談ですが、ケンタッキーの名産品サラブレッドは、このカルシウムが豊富な
牧草を食べる事によって、骨格のすばらしい馬が生産できるのだといいます。


Bなぜ内側を焦がした新樽で熟成させるのか

誕生のきっかけは実際のところはさだかではありません。
最初は魚の塩ずけに使った樽を使った為に焼いたとか、
たまたま焦がしてしまったものを黙って入れて、
後で飲んでみたらうまい酒が出来たとか。
偶然が生んだ色々な説が残っています。
ただし、現在では、連邦アルコール法よって
きちんとした製法の規定の中に含まれています。


Cバーボンの名称の由来は

“Bourbon” とは、フランスのブルボン王朝を意味しています。
16世紀末から19世紀末にかけてフランスを統治したブルボン王朝は
アメリカ合衆国独立戦争時に合衆国に味方しました。
そしてアメリカはめでたく独立を果たした際、その感謝の気持ちを表し、
各地にフランスにゆかりの名称をつけたのです。
そして当時バーボンの作られていた土地が「バーボン郡」という場所だったのでした。
しばらくして「バーボン郡」は存在しなくなりましたが、
その「バーボン郡で作られる蒸留酒=バーボン・ウイスキー」の名称は
今も語り継がれるようになったのです。


D WHISKEYの”e”はどこからやってきたのか

些細な事ですが、ウイスキーというスペルをよく見ると「whisky」と「whiskey」があります。
なぜ?スコッチやジャパニーズ・ウイスキーは皆「Whisky」です。
これは英語の違いなのですが、ウイスキーはアイルランドが発祥の地。
アイルランドではウイスキーは「whiskey」なのです。
そしてアメリカで最初にウイスキー(始めはライだった)を蒸留したのは、
ペンシルバニア、メリーランドに移民したアイルランド人だったことから
「whiskey」というスペルが主流に使われるようになったのだといいます。
しかし、中には移民の代からの家筋を大事にする蒸留所もあり
現在まで「Whisky」のスペルで通しているところもあります。
(メーカーズ・マークやアーリー・タイムズなど)


E こだわりのバーボンには「ストレート」や「ボンデッド」がついている

法的規制の名称ですが、「ストレート」は単一の蒸留所で作られたものという意味。
単一の蒸留所内で作られたものであれば混合する場合でも、
最新のものが4年以上熟成していれば「ストレート」の表示をしてもよい事になっています。
「ボンデッド」とは、正確には、「ボトルド・イン・ボンデッド法」(1897年制定)という法律に
のっとったウイスキーという意味で、内容は

T・単一の蒸留所で同じ製造者によって作られたもの。
U・その年、その季節に蒸留した、純粋に単一のウイスキーであること。
V・100プルーフ(50度)で瓶詰めされていること。
W・製造後少なくとも、4年以上熟成させたもの。

という、政府お墨付きのである信頼のマークなのです。


F バーボンの二つの製法「サワー・マッシュ」「スイート・マッシュ」

バーボンには、2種類の「発酵方法」があります。それぞれに特徴があり、
それによって蒸留・熟成に影響されたものが出来るのです。

「サワー・マッシュ」:
ほとんどの蒸留所で行われているのがこの発酵方法。
一度発酵させ蒸留した後に残るもろみの残液(Stillage)を新しく発酵させる際25%以上加えて発酵させます。
72〜96時間(3〜4日間)と時間をかけて発酵、発酵中にバクテリアの繁殖により酸が発生する事があり、
過剰になりすぎるとウイスキーの品質が落ちてしまうのです。
これを防ぎ、品質を一定にする方法が、サワー・マッシュ方法です。
味はマイルドで深い味わいに仕上がるのです。

「スイート・マッシュ」:
サワーマッシュと正反対で、もろみの残液を加えないで発酵させるか、
加えたとしても25%以下のもろみイーストを加えて発酵させる方法です。
すっきりとした、切れ味の有る風味が特徴です。






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